📂 教育・HR・人材 | 📅 2026/04/04

📚 教育・HR・人材テーマ徹底解説:経緯・現状・上昇下落因子と主要銘柄

人的資本経営・リスキリング支援・EdTechの成長が教育・HR・人材テーマを押し上げています。政府の人的資本開示義務化と主要企業の事業動向を解説します。
📊 StockWaveJPで読む(データ・チャート付き)

教育・HR・人材テーマとは

教育・HR(Human Resources)・人材テーマは、学習塾・予備校・eラーニング(EdTech)・語学学校・幼児教育などの教育機関と、人材派遣・人材紹介・求人メディア・採用管理システム(ATS)・HRテック(HR分野のITサービス)など人事・雇用サービスを提供する企業を対象とした投資テーマです。

少子化による国内教育市場の縮小リスクと、深刻な人手不足を背景とした人材サービス市場の拡大という相反する力が同時に働く複雑なテーマです。ただし「リスキリング(学び直し)」需要の急増・EdTech(教育テクノロジー)の進化・外国人材受入の拡大という新たな成長エンジンが加わり、市場全体としては成長が続いています。

人的資本経営とリスキリング需要の急拡大

政府の「人への投資」政策

岸田政権(2021〜2024年)は「人への投資」を重点政策に掲げ、リスキリング(既存スキルの再教育・新スキルの習得)支援に3年間で4,000億円規模の投資を実施しました。この政策を受け、法人向けのeラーニングプラットフォーム・研修サービス・スキル管理システムへの需要が急拡大しました。

また2023年から上場企業に義務付けられた人的資本の情報開示(従業員研修投資額・離職率・エンゲージメント指標等の開示)により、企業が従業員教育・研修への投資を「コストではなく資本」として捉えるシフトが起きています。

リスキリング市場の主要プレイヤー

グロービス(非上場)は経営学・MBAプログラムのeラーニングで法人・個人双方に高い認知度を持ちます。Udemy(米国上場・日本では学研グループが提携販売)は2万以上のオンライン講座を持つグローバルプラットフォームで、IT・デザイン・ビジネス系の講座が人気です。ベネッセホールディングス(9783)は「進研ゼミ」から「ベネッセコーポレーション」「ベネッセパレット(法人研修)」まで幅広い教育サービスを展開しています。

深刻な人手不足と採用市場の拡大

人手不足の現状

日本の労働力不足は製造業・建設業・サービス業・医療介護・物流と業種を超えて深刻化しています。帝国データバンクの調査では中小企業の60%以上が人手不足を訴えており、正社員・非正社員ともに採用難が続いています。2024年4月の「物流の2024年問題」(ドライバーの時間外労働規制)を契機に、人手不足問題が改めて社会的注目を集めました。

採用サービス市場の成長

人手不足が深刻化するほど、企業の採用活動への投資が増加します。求人広告(Indeed・リクナビNEXT・マイナビ等)・人材紹介(リクルート・パーソル・エン・ジャパン等)・採用管理システム(ATS)・リファラル採用支援(従業員紹介制度)・採用代行(RPO)など、採用に関わるあらゆるサービスへの需要が拡大しています。

リクルートホールディングス(6098)は国内最大の人材サービス企業で、Indeed(世界最大の求人検索エンジン)・Glassdoor(職場口コミサイト)など海外プラットフォームも傘下に持ちます。海外売上比率が高く、グローバルな採用市場の成長を取り込める独自のポジションにあります。

EdTech:デジタルで変わる教育の形

GIGA構想とEdTechの普及

2019年に政府が開始したGIGA構想(全小中学生への1人1台端末配布・校内Wi-Fi整備)により、EdTechを活用するデジタル環境が全国の学校に整備されました。コロナ禍での学校閉鎖がオンライン授業への大規模移行を加速させ、EdTechサービスへの需要が一気に高まりました。

AIによる個別最適化学習

AIを活用した「アダプティブラーニング(学習者の理解度・苦手分野に合わせて最適な問題・コンテンツを提供する学習)」が急速に進化しています。RISU Japan(非上場)はタブレット算数教材でAI最適化を実現し、全国の家庭での普及が進んでいます。Z会(非上場)・トライグループ(2G HD・非上場)・個別指導のトライもAI活用の個別指導に積極投資しています。

外国人労働者・グローバル人材採用の拡大

2024年6月に「育成就労制度」が新設され、旧来の技能実習制度が廃止・改革されました。新制度では労働者の転籍制限が緩和され、より適切な環境での就労が保障されるようになりました。外国人材の日本への受入はIT・介護・農業・建設・製造など幅広い分野で拡大しており、外国人材の採用支援・定着支援・日本語教育を提供する企業に大きな商機が生まれています。

エン・ジャパン(4849)は外国人採用支援サービス「エンゲージ」「エン派遣」を強化しており、外国人材採用市場でのプレゼンスを高めています。

HRテック:テクノロジーで変わる人事業務

HRテックの主要サービス

採用管理(ATS)・入社手続きのデジタル化(SmartHR・freee人事労務等)・勤怠管理・給与計算・評価・目標管理(OKR)・エンゲージメントサーベイ・タレントマネジメントなど、人事業務全般をSaaS化するHRテックが急成長しています。

SmartHR(非上場)は従業員情報の一元管理・入退社手続きの自動化・労務書類のペーパーレス化で急成長し、日本最大のHRテックユニコーンとなりました。

主要関連銘柄の詳細

リクルートHD(6098)は人材サービスのグローバルリーダーで、Indeed・Glassdoorの海外展開とHRテック事業(Recruiting Solutions)が成長ドライバー。国内では就職・転職・アルバイトの各サービスが圧倒的なシェアを持ちます。

パーソルHD(2181)は派遣・紹介・アウトソーシングを統合した人材サービス大手。東南アジアでの人材事業も拡大しています。

エン・ジャパン(4849)は転職サイト「エン転職」・HR向けSaaS・外国人採用支援で急成長。高い営業利益率が評価されています。

ジェイエイシーリクルートメント(2124)は管理職・専門職向けのプレミアム人材紹介で高い単価・利益率を維持します。

StockWaveJP編集部の見解

教育・HR・人材テーマは日本の雇用・労働市場の構造変化を最も直接的に反映するテーマです。有効求人倍率(仕事の数÷求職者数)・転職意向率・企業の採用計画指数などの雇用関連指標の発表に対してこのテーマが敏感に反応することを繰り返し観察しています。

当編集部が注目しているのは「景気動向との連動性」です。景気が拡大している局面では採用活動が活発化し、人材サービス会社の業績が改善します。逆に景気後退局面では企業が採用を抑制するため、人材派遣・紹介の需要が急減します。このサイクルを把握した上で、景気拡大局面の初期段階でこのテーマへの投資を検討することが有効と考えています。

一方でEdTech・リスキリング・HRテックは景気の影響を受けにくい「成長のモメンタムがある」サブセクターで、中長期の成長性の高い投資対象として別途評価することを推奨します。

まとめと今後の展望

教育・HR・人材テーマは「少子化による縮小」と「人手不足・DXによる成長」という二つの力が拮抗する複雑なテーマです。EdTech・リスキリング・外国人材・HRテックという成長サブセクターを持ちながら、全体としては景気連動性が強いという特性を理解した上で投資判断に臨んでください。

⚠ 本コラムは情報提供を目的としており、特定の銘柄・投資方法を推奨するものではありません。 投資に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。